Ledatcham’s blog

ゲームとラノベが好きです🐱

田舎の猫 街に行く 第七話

田舎の猫 覚醒する(1)
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 「そろそろ気持ちは落ち着いたかしら?話を続けたいのだけれど……」

 

 いけない、つい自分の世界に入り込んじゃった。これは私の悪い癖だ。

 

 「あ、はい、すみません、キャティ……」

 

 彼女はいたずらっぽく笑いながらこう言った。

 「貴女にとって良いお知らせがあります」

 

 嫌な予感……。私の幼馴染みである娘が時々する笑い方に似ている。そして、それを見た後はロクな目に遭わないことを私は知っている。

 

 「貴女の世界では転生者には転生特典が付随するのよね?」

 いや、そんなルールはない。そもそも転生できるなんて、ラノベの世界でもなければ無理なんだから。

 「その……転生特典とやらはみんな貰えたんですか?」

 私はおずおずと質問する。

 

 「いいえ、貴女は選ばれたのよ、その子によってね」

 

 彼女の指刺す先にあったのは、アレだった。そう、商店街の福引きなんかでガラガラと回されるアレだ。昨今ではデジタルにとって変わられるソレは、前の世界では珍しくなってきていたはず……

 なるほど、確かに私は前の世界でもガチャ運だけは良かった。10回まわすと1回はスーパーレアが当たるという、運営にとってみれば嫌なユーザーだったと思う。

 

 「それで、何が当たったんですか?」

 

 「うっふふ~。それはコチラでーす!」

 お姉さん、キャラ崩壊してない?大丈夫?そう言いたくなるのをグッと堪えた私は……それを見て呆然とした。

 

 その目録みたいな巻物に書かれた転生特典なるものは、いわゆるチートスキルのオンパレード。

 「な、何ですか、これはぁ~っ!?」

 思わず絶叫してしまった。

 

 「さっき転生特典って言ったじゃない?」

 

 「これだけでこの世界を滅ぼしちゃえそうなんですけどっ!」

 と叫ぶように言う私。

 

 「大丈夫よ。貴女に与えられるスキルは、この世界における貴女の味方や、この世界を壊しちゃうような時には働かないから。」

 彼女はしれっと続けた。

 「敵かどうか迷ったら、取り敢えず殴ってみれば分かるわよ?効いてれば敵、効かなければ味方ね」

 

 何なんですか、その疑わしきはぶん殴れという無茶苦茶な理論は。取り敢えず拳で語る世界ってもう末期でしょう?

 

 「え?貴女の元いた世界って話し合いでちゃんと解決できてたっけ?」

 

 それは言わないで欲しかった……。出来てたら滅びてないのよね、きっと。

 

 「冗談はさておき、貴女にはこのスキルを受け取らないという選択肢はないのよね。つまり、もう譲渡されていて、返品不可なの。」

 

 そうなのか。なんかそれって運命ってヤツ?ちょっと待て。これらのスキルを授け、敵の存在を仄めかすということは……

 「私に何をさせようとしているんですか?」

 これはアレか?魔王とかと闘えって事か?

 

 「アニメの観すぎよ。魔王なんてこの世界にはいません。」

 いや、そこでアニメが出てくる辺り、アナタも相当なオタ……

 

 「私は違うわよっ!」

 

 速攻で思考を読んで反応するところが怪しいわね。まぁ、いいわ。

 

 「じゃあ、何でこんなチート級のスキルばかりなんです?」

 私は誤魔化されないぞという視線を向けて、尋ねた。