Ledatcham’s blog

ゲームとラノベが好きです🐱

田舎の猫 街に行く 番外編 我が麗しのグリーンフィールド

田舎の猫 文化祭で歌う

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 いよいよ文化祭のステージが始まった。屋外に敷設されたステージは開放的でとても良い感じだ。天気にも恵まれ観客数も最初からマックスである。

 

 ステージのオープニングはアオちゃんがメインボーカルの『小青龍』

 「Remember~♪ 青い翼でアナタの元へ飛んで行くわ~🎶」

 伸びのある歌声は流石現役アイドル。会場のボルテージも上がる。掴みはバッチリだ。

 

 曲が終わるとすかさずアオちゃんのMCが入る。

 「ウイ アー シルフィード! 愛しあってるか~いっ!」

 

 メンバー紹介の後は私がメインボーカルの2曲目『ぜったい、負けない。』だ。

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 「そうだ、強気に Motto生意気に~♪」

 どんな時でも諦めない。絶対挫けない。私は私の道を往く。そんな気持ちを精一杯込めて歌う。その気持ちに呼応して会場の熱気が更に上がった。
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 その熱気を冷ますかのように、メイの3曲目はしっとり系のバラード。アオちゃんがグリーンフィールドに来たときに歌ってくれた『10年後の私へ……』

 「10年後の私へ~♪アナタは恋をしていますか……?」

 切々と歌い上げるメイ。会場はその歌声に酔いしれている。

 

 その後はそれぞれの曲を1曲ずつ歌い、ラストはいよいよ3人で歌う『Eternal Silpheed』だ。

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 この歌は私たちの絆の歌。バックバンドを務めてくれた生徒会のメンバーを含め、私たちが培った友情の証をアオちゃんが歌にしてくれた。

 「めぐり逢いはそう奇跡~♪ ……風の中で見つけた確かな想い~🎶」

 3人の歌声がハーモニーを奏でる。

 ──そして文化祭のステージが終了した。


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 「よがっだぁ……ずっごくよがっだぁ。ずびぃ~っ」

 楽屋で──と言っても屋外なのでテントだけど──師匠がボロ泣きしていた。この人めっちゃ涙もろいんだよな。その後ろでは私の育ての両親とメイの両親がニコニコと微笑んでいる。

 

 「どう? 音子は楽しかった?」

 育ての母が微笑みながら私に問いかける。

 「うん、人生で一番楽しかったかも」

 私も笑顔で返した。

 「良かったな」

 育ての父が私の肩に手を置きながら言った。

 「うん……」

 ありがとう、一緒に喜んでくれて。ありがとう、私を育ててくれて。そして……私と巡り会ってくれて『ありがとう』

 

 そんな今までの人生で一番の幸せを感じていた時に、その男は現れた。

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 「いやぁ~、凄かったですな~っ!」

 誰? 誰かの親? ここは関係者以外立ち入り禁止のはずだけど……

 

 私はさり気なく周りを見渡した。でも誰も反応していなかった。すると生徒会長が前に出て言った。

 

 「どなたですか? ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ」

 「お嬢さん、私をご存じない? これはショックですなぁ」

 ヤな感じ……。私の柳眉も自然に上がる。


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 「もう一度お聞きします。どなたですか?」

 生徒会長も一歩も引かない。すると男の態度は豹変した。

 「ちっ、小娘が! 俺様はな、知事なんだよ。この地方のな」

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 この世界における知事ってのは、ファンタジー世界における地方領主だ。って事はお貴族様か? なるほど態度がでかい訳だ。

 

 「その知事さんが何の用なん?」

 アオちゃんも塩対応である。

 「お前らに良い話があるんだよ。よく聞け」

 「良い話って?」

 私が問いかけると知事はこう答えた。

 「今度な、この地方でフェスティバルが開かれるんだよ。その時開かれるコンサートにお前らを召集してやる」

 

 召集……今、召集って言った? 招待でなく?

 私がムッとした顔をしていると、メイが言った。

 「私たちぃアオちゃん以外はただの学生ですしぃ……」

 「お前は来なくていい。召集するのはそこのドラゴン娘と猫娘だ」

 

 猫娘? 何か妖怪? じゃないっ! 何だこのパワハラ知事。

 「ドラゴン娘と猫娘でユニットを組ませる。ユニット名は……そうだな『ドラ猫』だ」

 

 かっち~んっ! 

 あったま来た。人生で一番幸せな時間から、どん底に叩き落とされた気分だ。許すまじパワハラ知事!

 

 私が怒りに拳を震わせていると、横から嘲るような声でアオちゃんが言った。

 「おっちゃんネーミングセンスないな~。ギャグやとしても全然おもろないで。関西人舐めんなや」

 

 ん? 関西人って? その言葉が心に妙に引っかかる。

 「それにな、私はグリーンフィールドの湖から離れられんのや。丁重にお断りするで」

 

 いや、関西人って……アオちゃんの前いた所? 何か違うような……。知っているのに思い出せない。そんなもどかしさに私の心は囚われていた。

 

 「まぁ、どうしてもって言うんならな、あんたらが湖に来てフェスティバルしいや。週末にな。」

 「この、くそドラゴンがっ! 俺様に逆らうとどうなるかわかってるのかっ!」

 パワハラ知事は怒りに震える声で言った。

 

 「ふぅん、そういう事言うんだ。それじゃ、誰に喧嘩を売ったか教えてあげるわっ!」

 

 こうして負けられない闘いが始まった。